日本三大古湯とは?定義と歴史的根拠
■ 日本三大古湯(日本三古湯)の意味
日本三大古湯とは、『日本書紀』『風土記』『万葉集』などの古代文献に登場する、日本最古級の温泉地を指します。
一般的に挙げられるのは次の3つです。
- 有馬温泉
- 道後温泉
- 白浜温泉
いずれも飛鳥時代以前から記録に残る名湯であり、日本の温泉文化の原点とも言える存在です。
■ 「延喜式神名帳」に基づく別説について
三古湯には別説もあります。
平安時代の法典『延喜式』(平安時代中期に編纂された、律令の施行細則をまとめた全50巻の法典)に収められた延喜式神名帳に記載される温泉神社(湯坐神社など)を基準とする考え方です。
この説では、
- 有馬温泉
- 道後温泉
- いわき湯本温泉
が挙げられることがあります。
ただしこれは中世以降の評価基準や神社との関係に基づく分類であり、一般的に知られる三古湯(有馬・道後・白浜)とは区別して理解するのが適切です。
【比較表】有馬・道後・白浜の違いは?
日本三大古湯のポイントを、わかりやすく下記表に整理しました。
| 温泉地 | 都道府県 | 主な泉質 | ゆかりの人物 | 立地の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 有馬温泉 | 兵庫県 | 金泉・銀泉 | 豊臣秀吉・舒明天皇 | 山間部(関西の奥座敷) |
| 道後温泉 | 愛媛県 | 単純温泉 | 聖徳太子・夏目漱石 | 松山市街地(日本最古伝承) |
| 白浜温泉 | 和歌山県 | 塩化物泉 | 斉明天皇・持統天皇 | 海沿い(絶景露天風呂) |
■ 一番古いのはどこ?
「日本三大古湯の中で、一番古いのはどこか?」
これは三大古湯を比較する際に特に多い疑問です。
結論から言えば、“伝承上の最古”と“文献上の最古”は必ずしも一致しません。
■伝承上の最古は「道後温泉」
一般的に「日本最古」として語られることが多いのが、道後温泉です。
『伊予国風土記』逸文には、
- 大国主命
- 少彦名命
にまつわる神話が記されており、約3000年前の開湯とする伝承があります。
また、『万葉集』にも伊予の湯に関する歌が見られ、飛鳥時代には聖徳太子が来湯したと伝えられています。
このように、神話+古代文献+皇族来訪伝承が揃う点が、道後温泉が「最古」と言われる大きな理由です。
■文献上の記録という視点
一方で、「文献に明確に登場する年代」で比較すると、事情は少し変わります。
- 有馬温泉
『日本書紀』(631年)に舒明天皇の行幸記録あり - 白浜温泉
『日本書紀』に斉明天皇の紀温湯行幸の記事あり - 道後温泉
『風土記』逸文や『万葉集』に登場
いずれも7世紀以前の記録があり、三湯とも極めて古いことは確かです。
つまり、
| 観点 | 最古とされやすい温泉 |
|---|---|
| 神話的伝承 | 道後温泉 |
| 日本書紀の明確な記録 | 有馬温泉・白浜温泉 |
| 皇族来訪の歴史的継続性 | 白浜温泉 |
というように、基準によって評価が変わるのが実情です。
そのため、学術的に「ここが絶対に最古」と断定するのは難しい――
これが専門家の間でも共通する見解と言われています。
有馬温泉 ― 秀吉が愛した関西の奥座敷

有馬温泉は、日本書紀にも記録が残る温泉地。
■ 豊臣秀吉と湯山御殿
戦国時代には荒廃しますが、豊臣秀吉が復興を命じ、「湯山御殿」を築きました。
いわゆる山奥の「隠し湯」とは異なり、有馬は公的な温泉地としての性格が強く、政治と文化の中心とも深く結びついていました。
■ 金泉と銀泉
有馬温泉の最大の特徴は、一つの温泉地で全く異なる2種類の泉質を楽しめる点です。
● 金泉(きんせん)
- 含鉄強塩泉
- 空気に触れると酸化し、赤褐色になる
- 塩分濃度が高く、保温効果が非常に高い
- 「熱の湯」とも呼ばれる
鉄分と塩分を豊富に含み、体の芯まで温まるため、冷え性・関節痛・慢性皮膚疾患などに良いとされます。
濃厚でとろみのある質感は、他の温泉ではなかなか味わえません。
● 銀泉(ぎんせん)
- 炭酸泉(含二酸化炭素泉)
- 放射能泉(ラジウム泉)
- 無色透明
血行促進作用があり、「心臓の湯」とも呼ばれることがあります。
金泉が“重厚でパワフル”なら、銀泉は“やわらかく繊細”な印象。
この対照的な泉質の共存こそ、有馬が特別視される理由です。
三古湯の中でも、泉質の多様性という点では最も個性が際立っています。
道後温泉 ― 神話と文学が息づく最古伝承の湯

道後温泉は、日本最古と称される温泉。
■ 少彦名命の神話
『伊予国風土記』逸文には、大国主命が速見の湯(現在の別府)から湯を導き、少彦名命を癒したという伝説が記されています。
この神話は道後温泉の由緒として語り継がれています。
■ 聖徳太子と万葉集
飛鳥時代には聖徳太子が訪れたと伝えられ、『万葉集』にも詠まれています。
■ 夏目漱石と『坊っちゃん』
明治期には夏目漱石が松山に赴任。
小説『坊っちゃん』の舞台として道後温泉が描かれ、全国的な知名度を高めました。
文学と歴史が融合する温泉地として、現代でも高い人気を誇ります。
白浜温泉 ― 天皇が訪れた海辺の古湯

白浜温泉は、古代には「紀の温湯(きのおんとう)」と呼ばれていました。「紀」とは現在の和歌山県一帯を指す旧国名・紀伊国のことです。
■日本書紀に見る記録
『日本書紀』には、
- 斉明天皇
- 天智天皇
- 持統天皇
が紀の温湯へ行幸した記録があります。
これは単なる療養ではなく、国家的行事としての滞在であったと考えられています。
つまり白浜は、古代における“公的リゾート地”のような存在でした。
■海と温泉の融合という希少性
白浜の象徴ともいえる「崎の湯」は、太平洋の荒波を間近に望む露天風呂。
海岸線に湧く高温泉は全国的にも珍しく、塩化物泉特有の保温効果も相まって、
- 冷えにくい
- 湯冷めしにくい
- 海風と湯気のコントラストが美しい
という独特の体験ができます。
三古湯の中で唯一、本格的な海景観と古代皇室文化を兼ね備えた温泉地である点が、白浜の大きな特徴です。
日本三大温泉との違い
「日本三大古湯」と混同されやすいのが、日本三大温泉(日本三名泉)です。
両者は似た名称ですが、成立した時代も評価基準もまったく異なります。
■ 日本三名泉の成立背景
現在「日本三名泉」として広く知られるのは、下記の三湯です。
- 草津温泉
- 下呂温泉
- 有馬温泉
この評価の源流は、室町時代の詩僧「万里集九」が著書『梅花無尽蔵』の中で三湯を称えたことにあります。
その約150年後、江戸時代の儒学者「林羅山」が詩の中で万里集九の記述を引用し、同じ三湯を絶賛しました。
この林羅山の評価が広く知られたことで、現在の「日本三名泉」という呼称が定着したと考えられています。
正確には「江戸時代の儒学者・林羅山が、室町時代の詩僧・万里集九の記述を引用しつつ絶賛したことで定着した」という理解が最も歴史的精度の高い説明です。
なお、日本三名泉それぞれの泉質の違いや観光の楽しみ方、現地での過ごし方まで詳しく知りたい方は、「日本の三大温泉をめぐる〜草津・有馬・下呂の魅力と楽しみ方〜」もぜひあわせてご覧ください。
歴史的背景だけでなく、「実際にどう楽しむか」という視点からも三名泉の魅力を深掘りしています。
■ 三大古湯との本質的な違い
一方、日本三大古湯(日本三古湯)は、
- 『日本書紀』
- 『風土記』
- 『万葉集』
などの古代文献に登場する歴史の古さを基準に語られます。
つまり両者の違いは、
- 三大古湯=歴史の古さ(文化的価値)
- 三名泉=泉質・評価の高さ(温泉としての完成度)
という評価軸の違いにあります。
■ 比較表で整理
より分かりやすく整理すると、次の通りです。
| 比較項目 | 日本三大古湯 | 日本三名泉 |
|---|---|---|
| 基準 | 文献上の歴史の古さ | 泉質・知名度・評価の高さ |
| 評価された時代 | 古代(飛鳥以前〜奈良) | 室町〜江戸時代以降 |
| 主なメンバー | 有馬・道後・白浜 | 有馬・草津・下呂 |
| 共通点 | 有馬温泉はどちらにも選出 | 有馬温泉はどちらにも選出 |
■ 有馬温泉の特異性
注目すべきは、有馬温泉だけが両方に選ばれている点です。
- 古代から記録に残る歴史的価値
- 江戸期の知識人に絶賛された泉質
この二つを兼ね備えている温泉地は、日本広しといえど有馬のみ。
それゆえ、有馬温泉は「歴史」と「泉質」の両面で日本屈指の名湯と評価され続けてきました。
■ 混同しやすい理由
- どちらも「三大(名)」という呼称
- 有馬温泉が共通
- どちらも全国区の知名度
これらが重なり、混同が生まれます。
しかし本質的には、
- 三大古湯=日本温泉文化の“原点”
- 三名泉=温泉としての“完成度の象徴”
という違いがあります。
どちらが格上という話ではありません。評価軸が違うだけなのです。
日本の温泉文化は、古代史・文学・皇室・武将・泉質評価など、複数の価値基準が重なり合って形成されてきました。
その奥深さを理解すると、温泉巡りは一段と面白くなります。
古代から現代へ ― 湯治文化と温泉地の進化
■ 湯治(とうじ)の広がり
江戸時代になると温泉は庶民にも開放され、長期滞在型の湯治文化が広まりました。
- 病気療養
- 疲労回復
- 交流の場
温泉は「神聖な霊湯」から「生活文化」へと進化します。
■ 伝統とリノベーション
道後温泉本館の保存修理のように、歴史を守りながら未来へつなぐ取り組みも進行中。
温泉地は今もなお、進化を続けています。
歴史を支える側になる ― 温泉地で働くという選択肢
日本三大古湯は、千年以上続く「おもてなしの歴史」が息づく場所です。
かつて天皇や武将、文豪たちが癒やされた空間。
その舞台を、今度は自分が支える側になるという選択肢もあります。
■ リゾートバイトならではの魅力
温泉地で働くスタイルの中でも、特に人気なのがリゾートバイトです。
- 休日や空き時間に名湯を楽しめる特権
リゾートバイトの求人には「温泉入り放題」などの特典がつく場合も多く、温泉を日常的に味わえる環境が整っている。 - 未経験から歴史の継承者になれる
旅館やホテルでの仕事は単なる接客ではありません。
千年以上続くおもてなし文化を次世代へつなぐ役割です。 - 自然と歴史に囲まれた暮らし
温泉地での仕事は、ただ働くだけでなく、文化の一部として関わる経験になります。あなたも歴史ある名湯の舞台で、新しい一歩を踏み出してみませんか?
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