【結論】専門学生の扶養、いくらまで稼げる?
結論から言うと、「いくらまで稼げるか」は一概には言い切れません。年齢が19〜22歳か23歳以上か、また税金上・社会保険上どちらの基準で考えるかによって、目安となる金額が130万円〜159万円の間で変わってくるためです。おおまかな目安としては、19〜22歳であれば税金上159万円・社会保険上150万円、23歳以上であれば税金上136万円が基準になります。それぞれの詳しい内容を、次の章から順番に確認していきましょう。
そもそも「扶養控除」とは?
具体的な金額の前に、そもそも「控除」がどういう仕組みなのかを簡単に押さえておきましょう。
親が子(専門学生)を税制上の扶養に入れていると、親の所得から一定額を差し引いた(=控除した)うえで税金が計算されます。所得から差し引かれる金額が大きいほど、親が納める所得税・住民税は少なくなる仕組みです。
ここで重要なのは、控除を受けられるかどうかは、子であるあなた自身の年間の給与収入によって決まるという点です。あなたの年収が一定額を超えると、親が受けられる控除額が段階的に減っていったり、なくなったりします。つまり「専門学生の扶養、いくらまで稼げるか」という問いは、実質的に「自分の年収が、親の税負担にどう影響するか」を確認する作業だといえます。
税金上の扶養(親の税負担)
19〜22歳(特定扶養親族)は給与収入159万円まで満額控除
専門学生の多くが該当する19歳以上23歳未満は、税制上「特定扶養親族」として扱われ、親は63万円という大きな控除を受けられます。令和8年度の基準では、給与収入が136万円以下であれば通常の扶養控除として63万円が適用され、136万円を超えて159万円までの範囲でも「特定親族特別控除」により63万円の控除が維持されます。
159万円〜197万円は段階的に控除額が減っていく
給与収入が159万円を超えると、特定親族特別控除の額が段階的に減っていきます。197万円を超えると、この控除は受けられなくなります。以前のように「103万円を1円でも超えたら控除がゼロになる」という崖のような仕組みではなく、なだらかに変化していく仕組みになっている点を押さえておきましょう。
| 給与収入 | 親が受けられる控除 |
|---|---|
| 136万円以下 | 扶養控除63万円(満額) |
| 136万円超〜159万円以下 | 特定親族特別控除63万円(満額維持) |
| 159万円超〜197万円以下 | 特定親族特別控除が61万円から3万円へ段階的に減少 |
| 197万円超 | 控除なし |
令和7年度から8年度でどう変わったか
年収の壁は、ここ数年で段階的に緩和されてきています。令和7年度と8年度の基準を比べると、その変化がよくわかります。
| 区分 | 令和7年度(2025年度) | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|---|
| 一般扶養親族(16〜18歳・23歳以上) | 給与収入123万円以下 | 給与収入136万円以下 |
| 特定扶養親族(19〜22歳)満額控除ライン | 給与収入150万円以下 | 給与収入159万円以下 |
一般扶養親族・特定扶養親族のいずれも、基準となる収入が引き上げられており、以前より多く稼いでも扶養にとどまりやすくなっています。制度は今後も見直される可能性があるため、最新の基準は都度確認するようにしましょう。
23歳以上(一般扶養親族)は136万円が基準
社会人経験を経て専門学校に入学した人など、23歳以上の場合は「一般扶養親族」として扱われ、令和8年度の基準では給与収入136万円以下であれば扶養控除(38万円)の対象になります。19〜22歳の特定扶養親族に比べると、対象となる収入の上限が低く設定されている点に注意が必要です。
社会保険上の扶養(親の健康保険)
税金上の扶養とは別に、親の健康保険の扶養(被扶養者)に入れるかどうかも確認しておきましょう。
原則の基準は年収130万円
社会保険上の扶養は、原則として年間収入130万円未満(月収換算で約10.8万円未満)が基準です。この判定は、今年1年間の実績ではなく「今後1年間の見込み年収」で行われる点が、税金上の扶養とは異なります。
19歳以上23歳未満は年収150万円未満に緩和
令和7年10月の制度改正により、19歳以上23歳未満の被扶養者については、年収要件が150万円未満まで緩和されています。多くの専門学生がこの年齢層に該当するため、社会保険上の扶養についても、税金上の扶養と近い水準まで柔軟になったといえます。この150万円の基準は「19歳以上23歳未満」の期間のみ適用されるため、23歳の誕生日を迎えた後は、原則の130万円未満に基準が戻る点も覚えておきましょう。ただし、加入している健康保険組合によって収入の算定方法(交通費を含むかどうかなど)が異なる場合があるため、正確な基準は親の勤務先の健康保険組合に確認するのが確実です。
扶養から外れると、実際どのくらい負担が増えるのか
「扶養から外れる」と聞くと漠然と不安に感じるかもしれませんが、具体的にイメージしておくと安心です。
- 税金上の扶養から外れた場合:親の所得税・住民税の負担が増えます。増加額は親の所得水準によって変わりますが、年間で数万円〜十数万円程度の負担増になるケースが一般的です。
- 社会保険上の扶養から外れた場合:学生自身が国民健康保険料・国民年金保険料を負担することになります。国民年金保険料は令和8年度で月額17,920円(年間約21.5万円)と定額で、国民健康保険料は前年の所得等に応じて自治体ごとに計算されます。
どちらも「絶対に避けるべき」というものではなく、稼いだ分の収入と負担増を天秤にかけて、自分にとって納得できる働き方を選ぶことが大切です。長期休みに集中して稼ぐことで、扶養の壁を多少超えても、それ以上の収入増につながるケースも少なくありません。
学生自身にかかる税金(所得税・住民税)
扶養の話とは別に、学生自身にも所得税・住民税がかかる場合があります。令和8年度は基礎控除・給与所得控除の引き上げにより、特別な手続きをしなくても、給与収入178万円までは所得税がかかりません。
これとは別に「勤労学生控除」という制度もあり、要件を満たせばアルバイト先で申請できます。令和8年度基準では、給与収入163万円以下であれば適用対象です。所得税については178万円まで非課税になったことで勤労学生控除を使う意味合いは薄れていますが、住民税は所得税より低い水準から課税が始まるため、住民税の負担を抑えたい場合には勤労学生控除の申請にまだ価値があります。 ご自身の収入状況に応じて、年末調整や確定申告の際に申請を検討するとよいでしょう。
よくある質問
Q. 税金上の扶養と社会保険上の扶養、両方超えないようにするにはいくらまでにすればいいですか?
A. 19〜22歳の場合、税金上は159万円、社会保険上は150万円が基準となるため、両方を維持したい場合は、より厳しい方の基準である150万円未満を目安にするのが安全です。
Q. アルバイトを掛け持ちしている場合、収入はどう計算しますか?
A. 税金上・社会保険上どちらの判定でも、複数のアルバイト収入は合算されます。1つの職場の収入だけで判断せず、全ての収入の合計で壁を超えないか確認しましょう。
Q. 扶養から外れると、具体的に何が変わりますか?
A. 税金上の扶養から外れると、親の所得税・住民税の負担が増えます。社会保険上の扶養から外れると、学生自身が国民健康保険・国民年金への加入手続きを行い、保険料を自分で支払う必要が生じます。
Q. 年収の壁は今後また変わりますか?
A. 年収の壁に関する制度は近年たびたび見直されています。この記事の内容は令和8年度時点の情報のため、応募前や年末調整の際には、親の勤務先の担当部署や税務署など最新の情報源で確認することをおすすめします。
具体的な年収シミュレーション
実際にどのくらい働くと、どの壁に近づくのか、時給1,200円のアルバイトを例に計算してみましょう。
| 週の勤務時間 | 月収の目安 | 年収の目安 | 該当する壁の目安 |
|---|---|---|---|
| 週10時間 | 約5.2万円 | 約62万円 | いずれの壁も余裕あり |
| 週15時間 | 約7.8万円 | 約94万円 | いずれの壁も余裕あり |
| 週20時間 | 約10.4万円 | 約125万円 | 社会保険(130万円)が近づく水準 |
| 週25時間 | 約13万円 | 約156万円 | 税金上(159万円)・社会保険上(150万円)ともに近い水準 |
※1か月を4.3週として計算した目安です。実際の収入は勤務日数・時給・シフトによって変動します。
長期休みに集中して働く場合、通常より週あたりの稼働時間が大きく増えるため、思った以上に年収が伸びやすい点にも注意しておきましょう。
リゾートバイトで稼ぐ場合の注意点
長期休みに集中して稼げるリゾートバイトは、専門学生にとって効率よく収入を得やすい働き方です。多くの専門学生は、夏休み・冬休みなど合計2〜3ヶ月程度の長期休みに限定して働くケースが多く、その範囲であれば、リゾートバイトの収入だけで年収の壁を超えることは少ないのが実情です。たとえば時給1,600円で2ヶ月間フルタイムで働いた場合の収入は約56万円で、130万円・150万円・159万円のいずれの壁にも単独では大きな余裕があります。
注意が必要なのは、学期中に別のアルバイトを掛け持ちしている場合です。税金上・社会保険上どちらの判定でも、すべての収入を合算して判定されるため、学期中の通常バイト収入とリゾートバイトの収入を合わせると、想定より壁に近づいていることがあります。学期中のアルバイトも含めて、年間でどのくらいの収入になりそうか、一度おおまかに計算しておくと安心です。専門学生のアルバイト収入の相場については、以下の記事もあわせてご覧ください。
専門学生のバイト、平均月収はいくら?相場と、収入を増やしたいときの選択肢
まとめ
専門学生の扶養は、税金上と社会保険上で基準が異なります。19〜22歳であれば税金上は給与収入159万円まで、社会保険上は150万円未満まで扶養にとどまれる可能性があります。23歳以上は税金上136万円が基準になるなど、年齢によって条件が変わる点に注意しましょう。制度は今後も改正される可能性があるため、不安な場合は親の勤務先の担当部署や税務署に確認することをおすすめします。














