期間工は女性でも働ける?法律で決まっている3つのことと、求人票で確認できること

働き方

期間工について調べていると、女性の応募をめぐる話が出てきます。採用枠が少ないらしい、重い物を扱うから向かないらしい、寮の受け入れが難しいらしい。どれも「らしい」で語られていて、根拠が示されていません。

先に結論を書くと、女性が期間工として働くことを禁じる法令はありません。性別を理由に応募者を外すことは、むしろ禁止されている側です。

そのうえでこの記事では、法律で決まっていることと、そうでないことを切り分けます。募集と採用のルール、扱える重量の上限、夜勤と体調についての定め。この3つには、法律や省令、国の指針といった根拠があり、調べれば確認できます。

そして最後に、求人票と面接で確認できることをまとめました。「女性だから採用されにくい」と言われたときに何を確かめればよいのか、それが分かる状態にするのがこの記事の目的です。

「女性は期間工に落ちやすい」と言われる3つの理由

「女性は落ちやすい」と言われるとき、理由として挙げられるものは主に下記3つです。

3つとも、検索結果に並ぶ記事や質問サイトで語られている内容です。採用の実績を示すデータにもとづくものではありません。

体力や健康面を不安視される

立ち仕事が続き、重い物を持ち上げる場面がある。交替制で夜勤も入る。この条件に耐えられるかどうかを疑われる、という説明です。

持病があったり、過去のケガを正直に伝えたりすると不採用になりやすい、という話も確認できました。

志望動機が弱いと見られる

「貯金がしたいだけ」「正社員になる気はない」と伝えると、途中で辞めるリスクがあると判断される。仕事内容への理解が浅いとマイナスになる。面接での伝え方の問題として語られています。

女性の採用枠が少ない、寮の受け入れが難しい

体力的にきつい工程が多いため、女性の採用枠がそもそも少ない。あるいは倍率が高い。女性用の寮が満室で受け入れられない。

3つのうち、この理由だけは応募する人の側の話ではありません。前の2つが準備や伝え方の問題として語られるのに対して、これは受け入れる側の事情として語られます。

この違いが、3つ目を重く感じさせます。準備や伝え方なら自分で手を打てますが、枠がない、寮が空いていないと言われてしまうと、動かせる余地がないように見えるからです。

そしてこの3つ目には、法律の定めがあります。募集と採用で性別による線引きができるのかどうか、という問題だからです。

ここから、法律で決まっていることを3つ見ていきましょう。

法律で決まっていること①募集と採用で、性別による線引きはできない

禁止されている5つのこと

厚生労働省が公表している「男女均等な採用選考ルール」に、募集と採用で禁止されることが挙げられています。根拠は男女雇用機会均等法の第5条です。

  • 募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること
  • 募集・採用の条件を男女で異なるものとすること
  • 採用選考において、能力・資質の有無等を判断する方法や基準について男女で異なる取扱いをすること
  • 募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること
  • 求人の内容の説明等情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること

性別を理由に応募者を外すことも、採用の基準を男女で変えることも、原則として認められていません。4つ目を見ると、女性を優先することも並んでいます。つまり、どちらかに有利な扱いをしないというルールです。

ただしここには例外があります。同じ資料に、男女の均等な機会・待遇の確保の支障となっている事情を改善するために、女性のみを対象とするまたは女性を有利に取り扱う措置(ポジティブ・アクション)は法違反とはならないと書かれています。

ただし、何でも認められるわけではありません。資料では、女性労働者の割合が4割を下回っている場合に格差が存在していると判断されるとされ、そのうえでこれまでの慣行や固定的な男女の役割分担意識が原因で生じている格差を改善することを目的としていることが必要と書かれています。4割を下回っていても、単に女性を優先したい、有利に取り扱いたいという意図であれば法違反になります。

女性を優先することが一律に禁じられているわけではない、という点を押さえておいてください。

厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」

「男女別の採用人数を決める」は違法事例として挙げられている

同じ資料には、違法にあたる具体例も並んでいます。そのひとつとして、「総合職は男性を7名、女性を3名など、男女別の採用人数を決めて採用する」と書かれています。

枠を男女で分けて人数を決めること自体が、違法事例として示されています。1章で挙がっていた「女性の採用枠が少ない」という説明は、この点にかかわってきます。

ただし、求人が少ないことと、男女別に人数を決めていることは同じではありません。その工程の募集人数そのものが少ないこともあれば、寮の空室が限られていることもある。求人が少ないという情報だけで、性別で人数を決めていると判断することはできません。

ただし、個別の勤務先が実際にそうしているかどうかは、外からは分かりません。ここで言えるのは、「女性枠が少ないから仕方ない」という説明を、そういうものだと受け取る必要はないということです。

体力を条件にすることも、理由がなければ間接差別にあたる

もうひとつ押さえておきたいのが、間接差別という考え方です。こちらは第5条とは別の、法第7条の話になります。同じ資料に、禁止される措置として次の2つが挙げられています。

  • 業務上の必要性など、合理的な理由がない場合に、募集・採用において労働者の身長・体重・体力を要件とすること
  • 労働者の募集・採用、昇進、職種の変更をする際に、転居を伴う転勤に応じることを要件とすること

1つ目が期間工の募集に直接かかわります。「体力に自信のある方」という条件が、その仕事の中身から見て本当に必要なのかどうかが問われるからです。

ここで読み落としたくないのが、「合理的な理由がない場合に」という条件です。体力を求めること自体が、それだけで違法になるわけではありません。禁止されているのは、業務の中身から説明がつかないのに体力を要件にすることだけです。

応募を考えている人が「体力があります」とアピールしようとするのは自然な反応です。ただし、要件として掲げる側には理由の説明が求められている。この前提を知っているかどうかで、面接での答え方が変わります。

ここまでを知ると、求人票の読み方が変わる

ここからは、上の内容をふまえた読み方の話になります。

求人票に「体力に自信のある方」と書かれていたとして、それを見た時点で違法だと判断できるわけではありません。合理的な理由があるかどうかは、その仕事の中身で決まるからです。

そのうえで、聞き方は変えられます。「体力は大丈夫です」と答える代わりに、扱う物の重さと頻度を尋ねる。そうすると、話が自分の意気込みではなく仕事の中身に移ります。この章の内容がいちばん役に立つのは、おそらくこの場面に遭遇した場合と言えます。

法律で決まっていること②扱える重量には上限がある

前の章で、性別による線引きは認められないと書きました。ただし例外があります。そしてその例外の中身が、この章のテーマです。

例外にあたるのは、法令の就業制限で就けない業務がある場合

「男女均等な採用選考ルール」には、法違反とならない場合も示されています。前の節で触れたポジティブ・アクションのほか、業務の遂行上一方の性でなければならない職務、海外での勤務が必要な場合などが並んでいます。そしてもうひとつが、法令の就業制限により女性を就業させることができない場合です。

女性に適用される就業制限の根拠として挙げられているのは、労働基準法の第64条の2第2号(坑内業務の就業制限)と第64条の3第2項(危険有害業務の就業制限)です。女性の重量物の制限は、後者から来ています。

あわせて、「単に、一方の性に適していると考えられているだけでは該当しません」とも書かれています。

つまり「女性には向かない」という判断だけでは、例外になりません。法令の制限があるかどうかで決まります。

満18歳以上の女性は、断続作業30キログラム以上・継続作業20キログラム以上の業務に就けない

女性の就業制限を定めているのが、女性労働基準規則です。重量物を取り扱う業務について、年齢区分ごとに重量が決められています。

年齢区分断続作業の場合継続作業の場合
満18歳以上30キログラム以上20キログラム以上
満16歳以上満18歳未満25キログラム以上15キログラム以上
満16歳未満12キログラム以上8キログラム以上

この重量以上の重量物を取り扱う業務には、女性を就かせてはならないとされています。

断続作業と継続作業で数字が違う点に注意してください。同じ重さでも、持ち上げ続ける作業のほうが基準は厳しくなります。工場の工程では同じ動作を繰り返す場面が多いので、どちらにあたるのかで見るべき数字が変わります。

「女性労働基準規則」

この制限は、妊娠中でない女性にも適用される

ここを誤解している記事をよく見かけます。重量物の制限は、妊娠中や産後の女性だけに適用されるものではありません。

厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」では、就業制限の対象が妊婦・産婦・その他の女性の3区分で整理されています。重量物を取り扱う業務は、3区分すべてで「就かせてはならない業務」とされています。

女性労働基準規則でも、妊娠中および産後1年を経過しない女性以外の女性について、重量物取扱業務の定めを適用すると規定されている。つまり、妊娠していない女性にもそのまま当てはまります。

あわせて押さえておきたいのが、適用されるのが重量物だけではないという点です。同規則の第3条では、妊娠中でない女性に適用される業務として、重量物取扱業務と並んで有害物を発散する場所での一定の業務が挙げられています。対象になっているのは、PCBや水銀などを発散する場所、鉛などを発散する場所、有機溶剤などを発散する場所での業務です。

工場には、塗装やめっきのように有機溶剤や金属を扱う工程もあります。ただし、工程の名前だけで就業制限の対象が決まるわけではありません。実際に使う物質と作業の環境が、規則の条件に当てはまるかどうかで判断されます。

だから、重量だけを見て判断しないという話になります。扱う物の重さに加えて、何を扱う工程なのかも確認の対象にできる、ということです。

厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「妊産婦等の就業制限の業務の範囲」

「就かせてはならない」と「努めること」は別のもの

重量の話を調べていると、もうひとつ別の数字が出てきます。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」です。

この指針では、満18歳以上の男性労働者が人力のみで取り扱う物の重量を体重のおおむね40%以下となるように努めること、とされています。そして満18歳以上の女性については、男性が取り扱うことのできる重量の60%位までとすること、という記述があります。

ここで混同しないでほしいのが、2つの性質の違いです。

項目女性労働基準規則職場における腰痛予防対策指針
性質就かせてはならない(禁止)努めること(努力の目標)
基準年齢区分ごとの重量体重との比率

規則のほうは、超えていれば就かせられません。指針のほうは、事業者が目指す水準として示されたものです。同じ「重さの基準」という言葉で語られていても、強さが違う。

ここで、数字の読み方を間違えないようにしてください。体重のおおむね40%以下は、満18歳以上の男性についての目安です。そして女性の「60%位まで」は、男性が取り扱うことのできる重量に対する割合で、自分の体重の60%という意味ではありません。

どちらも、事業者が腰痛を防ぐために努める目安として示された数字です。自分で計算して自分の限度を出す、という使い方はできません。求人票を見るときに使えるのは、「軽作業」という言葉だけで判断せず、扱う物の重さと頻度を具体的に聞くという形です。

「職場における腰痛予防対策指針」

ここから見えてくる構造

2章と3章を合わせると、次の順でつながります。

  1. 性別を理由に応募者を外すことは、法第5条で禁止されている
  2. 例外は限られていて、そのひとつが、法令の就業制限で女性を就業させられない場合
  3. 女性の場合、その制限は重量物の取扱いと、有害物を発散する場所での一定の業務
  4. 「女性だから」という説明の前に、その工程が制限にかかるのかどうかを確かめられる

ここで言い過ぎないよう、区切っておきます。例外は就業制限だけではありません。業務の遂行上一方の性でなければならない職務など、別の場合も挙げられていました。そして採用されるかどうかが工程だけで決まるわけでもありません。募集の人数も、その仕事に必要な能力の判断も関わってくる。

この章で確かめたのは、性別それ自体を理由にできる場面が限られている、ということだけです。

それでも、応募する側にとっては意味があります。性別の問題として受け取ると打つ手がありませんが、工程の問題として見ればどの工程の求人を見るかで変えられます。

「女性は軽作業に配属されやすい」の中身を分ける

期間工について調べていると、「重労働は男性が担当することが多く、女性は比較的負担の少ない検査や細かい組み立て工程に配属されやすい」という説明に出会うはずです。

配慮として語られることが多い内容です。ただし、中身は2つに分かれます。

重量の制限にかかる工程を外すのは、法令にもとづくもの

3章で見たとおり、満18歳以上の女性については、断続作業で30キログラム以上、継続作業で20キログラム以上の重量物を取り扱う業務に就かせることができません。断続と継続のどちらにあたるかは作業の実態で決まるので、そこを含めて確認する必要があります。この制限にかかる工程から外れるのは、法令にもとづく扱いです。

それ以外を性別で分けることは、原則として禁止されている

一方で、配置を性別で分けること自体は、原則として認められていません。男女雇用機会均等法の第6条が、配置や昇進、教育訓練などについて性別を理由とする差別的取扱いを禁じているからです。

厚生労働省の「男女雇用機会均等法のあらまし」には、禁止される例が挙げられています。

  • 時間外労働や深夜業の多い職務への配置に当たって、その対象を男性労働者のみとすること
  • 営業部門について、男性労働者については全員配置の対象とするが、女性労働者については希望者のみを配置の対象とすること
  • 派遣元事業主が、一定の労働者派遣契約に基づく労働者派遣について、その対象を男女のいずれかのみとすること

2つ目に注目してください。一見すると女性に配慮しているように読める形が、違反の例として挙げられています。希望を聞くこと自体が問題なのではなく、男性には聞かずに女性にだけ聞くという非対称が問題にされている。

同じ資料のQ&Aには、交替制の例もあります。希望する女性以外は3交替制の職務に就けないとした場合について、男性は全員を対象とするのに女性は希望者のみを対象にしていることになり、第6条に違反すると書かれています。期間工の交替制勤務に、そのまま当てはまる形です。

3つ目も見ておいてください。派遣で働く場合の定めです。住み込みの仕事は派遣の形を取ることがあるので、ここも無関係ではありません。

つまり「女性は負担の少ない工程へ」という運用のうち、重量の制限で説明がつく部分と、そうでない部分があります。後者に求められるのは、業務上の必要性という根拠です。

この切り分けを知っていると、説明の受け取り方が変わります。「女性にはこの工程しかない」と言われたとき、それが法令の制限によるものなのか、慣行によるものなのかを聞けるからです。

厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」

法律で決まっていること③夜勤と体調について

3つ目は、働く時間と体調に関わる定めです。ここは誤った情報がネット上に残っている領域なので、順番に確かめます。

女性の深夜業の規制は、1999年に廃止されている

「女性は夜勤ができない」という説明を見かけることがあります。これは現在の制度ではありません。

厚生労働省の「深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針」についての通達に、背景が記されています。労働基準法の女性労働者に対する時間外労働・休日労働・深夜業の規制は、平成11年4月1日から廃止されました。

つまり、女性だから夜勤に入れないという制度上の制限は、現在ありません。ただし、制限がないことと、実際に交替制勤務に配属されることは別の話です。どの勤務に入るかは求人の条件と配属先で決まるので、勤務時間と手当を求人票で確かめてください。

ただし妊産婦は別です。労働基準法により、妊産婦が請求した場合、使用者は深夜業をさせてはならないとされています。

夜勤がある職場に求められる措置は、強さが3種類に分かれる

規制がなくなった代わりに、夜勤に従事する女性が働けるよう、職場が整えるべきことが指針で示されています。ここが実用的な部分です。

ただし、中身の強さは一様ではありません。努めることとされたもの、条件を満たす場合に義務となるもの、そして女性に限らず深夜業に従事する労働者全員にかかるもの。混ぜて読むと実際とずれるので、この章と次の2つの項目に分けて見ていきます。

この項目で扱うのは、努めることとされているものです。まず通勤と就業中の安全確保。指針では、次のような措置を講ずるように努めるものとされています。

  • 送迎バスの運行や、公共交通機関に合わせた勤務時間の設定
  • 従業員駐車場の防犯灯の整備
  • 防犯ベルの貸与
  • 防犯上の理由から、女性が一人で作業することをできる限り避けるよう努めること

最後の項目には但し書きがあります。一人作業が避けられない業務に女性を配置できないという意味ではない、と明記されている。ここも、配慮を理由に配置から外すことを認める定めではない、という形になっています。

子の養育や家族の介護への配慮も、努めることとして挙げられています。深夜以外の時間帯で働いていた女性を新たに深夜業に就かせる場合、事情を聴いて考慮するよう努めることとされています。

設備の男女別は、条件を満たすと義務になる

ここからは、努力ではなく義務とされている内容に移ります。ひとつは仮眠や睡眠の場所です。労働安全衛生規則第616条第1項により、夜間に労働者に睡眠を与える必要のあるとき、または労働者が就業の途中に仮眠することのできる機会があるときは、適当な睡眠または仮眠の場所を男性用と女性用に区別して設けなければならないとされています。

休養室や休養所には、人数の条件が付きます。同規則第618条が義務としているのは、常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用するときです。

「男女別になっていて当然」と考えるのは、少し早い。仮眠の場所は夜間に睡眠を与える必要があるかどうかで、休養室は働いている人数で決まります。だから、応募先がどちらにあたるのかを聞く意味があります。

深夜業の健康診断は、女性に限った制度ではない

3つ目は健康診断です。労働安全衛生規則第45条第1項により、深夜業を含む業務に常時従事する労働者を対象として、深夜業への配置替えを行う際と6か月以内ごとに医師による健康診断を行うことが求められています。

これとは別に、雇い入れるときの健康診断が同規則第43条で定められています。深夜業の有無にかかわらず、常時使用する労働者を雇い入れるときの定めです。条文が分かれているので、時期も分けて押さえておいてください。

対象は女性に限られません。深夜業に常時従事していれば、男性も同じ対象です。女性向けの配慮として紹介されることがありますが、そうではない。だからこそ、確認すれば答えが返ってくる項目でもあります。

「深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針」

夜勤という働き方そのものの中身は、工場でも観光地の宿泊施設でも共通する部分があります。業種ごとの職種や勤務の形の違いは、リゾートバイトの夜勤とは?メリットやデメリット、主要な職種などをご紹介!で扱っています。

生理日の休暇は、法律で定められている

労働基準法第68条です。

生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、使用者はその女性をその生理日に就業させてはならないとされています。

制度として存在することを知っているかどうかで、働き方が変わります。交替制勤務では体調の波と勤務の都合が重なりやすいので、請求できるものがあると分かっているだけで選択肢が増える。

なお、この休暇が有給か無給かについて、法律は定めていません。勤務先の規程によるので、そこは確認が必要です。

妊娠が分かったときの定め

契約期間の途中で妊娠が分かった場合に何があるのか。ここも条文で確かめられます。

内容条件
時間外労働・休日労働・深夜業妊産婦が請求した場合、させてはならない
変形労働時間制による法定時間を超える労働妊産婦が請求した場合、させてはならない
他の軽易な業務への転換妊娠中の女性が請求した場合、転換させなければならない
産前休業6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定の女性が請求した場合、就業させてはならない
産後休業産後8週間を経過しない女性は就業させてはならない(ただし、産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障がないと認めた業務には就かせてよい)
育児時間生後満1年に達しない子を育てる女性が請求できる。1日2回、各々少なくとも30分

並べてみると、多くが「請求した場合」という形になっています。制度があっても、こちらから言わないと動かないものが含まれているということです。

「労働基準法のあらまし(妊産婦等)」

寮について確認できること

1章で挙げた「寮の受け入れが難しい」という話に戻ります。寮は、仕事と同じくらい生活を左右する部分です。

寮にも法令の定めがある

勤務先が用意する寮が「事業の附属寄宿舎」にあたる場合、労働基準法に定めがあります。

  • 第94条:使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない
  • 第95条:寄宿舎規則を作成し、寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得たうえで、所轄の労働基準監督署長に届け出る

寮のルールは勤務先が自由に決めているものではなく、届出を伴う仕組みだということです。しかも第95条では、規則をつくるときに寄宿する労働者側の同意が求められている。住む人の側が関わる形になっている、という点が重要です。

さらに第96条の2では、常時10人以上の労働者を就業させる事業などで寄宿舎を設置する場合、計画の着手14日前までに届け出ることとされています。建てる段階から手続きが入るということです。

寝室には数値の基準がある

寝室の基準を定めているのは、「事業附属寄宿舎規程」です。

項目第一種寄宿舎第二種寄宿舎
1人あたりの居住面積2.5平方メートル以上2.5平方メートル以上
1室の居住人員16人以下50人以下
天井の高さ2.1メートル以上—
収納私有の身廻品の収納設備は個人別押入または棚等を設ける
防寒適当な採暖の設備適当な採暖の設備

第一種では、寝室を地下または建物の3階以上に設けてはいけません。

この2つを分けているのは、労働者を寄宿させる期間です。6か月以上の期間寄宿させる寄宿舎が第一種、6か月に満たない期間寄宿させる寄宿舎が第二種とされている。

雇用契約の期間そのもので決まるわけではない、という点に注意してください。実際にどれだけの期間その寮に住むのかで区分が変わります。1室の人数の上限が第一種より緩いので、どちらにあたるのかで条件も変わってくる。期間工のように期間が決まっている働き方では、ここを押さえておく意味があります。

就眠時間が違う人を同じ寝室にしないという定めがある

同じ規程の中で、いちばん実用的なのがこれです。「就眠時間の異なる二組以上の労働者を同一寝室に寄宿させない」という定めで、交替時に睡眠を妨げない方法を講じた場合は除くとされています。

条文が言っているのは「就眠時間」の違いで、勤務時間帯の違いそのものではありません。早番と遅番で部屋を分けるという書き方を見かけますが、条文の言葉とは少しずれる。もっとも、勤務時間帯が違えば寝る時間も違ってきやすいので、関係はしています。

相部屋のいちばんの負担は、同室の人と生活リズムが合わないことです。自分が寝たい時間に相手が起きていて、数か月それが続くと、休んでいるつもりでも休めていない状態になります。

交替制勤務のある職場では、この問題が起きやすい。それが原則として避けるべきものとされている、という事実は知っておく価値があります。括弧書きの除外もあるので、絶対の禁止ではないという点はあわせて押さえてください。

ただし、すべての寮がこの規程の対象になるとは限りません。対象は「事業の附属寄宿舎」で、該当するかどうかは実態で判断されます。基準が存在することを知ったうえで、応募前に聞くという使い方になります。

個室かどうかは、求人票の表記で分かる

寮のタイプを示す書き方には、「個室寮」「1R個室寮」「相部屋」などがあります。こうした表記があれば判断材料になりますが、記載の細かさは求人によって違う。書かれていない場合は、聞いてから判断してください。

バス・トイレまで自分の部屋で完結させたい場合は、1R個室寮(バス・トイレ付)のリゾートバイトはこちらから条件を絞って探せます。

それでも期間工が選ばれる理由

ここまで制度の話を続けてきました。細かい制度が関わっているのにも関わらず、それでもこの働き方が選ばれているのは、ほかの仕事では代えにくい条件が揃っているからです。

経験や資格を問わない求人がある

工場で働いた経験がなくても応募できる求人があり、研修の制度を設けている勤務先もあります。入り口が広いことが、この働き方の特徴のひとつです。

資格がなくても始められる仕事に何があるかは、資格がなくてもできる仕事はどんな仕事?未経験でも始められる仕事と探し方をご紹介!にまとめてあります。

寮費がかからない分、出ていくお金が減る

寮が用意されている求人では、家賃にあたる支出が減ります。仮に月6万円の家賃を払っている人が、その部屋を解約して3か月働くなら、家賃の支出は単純計算で18万円減ります。これは年収という数字には表れない部分です。

ただしこの18万円は、家賃だけを見た数字です。引っ越しにかかる費用や、寮で別途かかる支出は含んでいません。手元に残る金額として受け取らないでください。

ただし条件は求人ごとに違い、水道光熱費が自己負担という形もあります。「寮費無料」という言葉だけで判断せず、何が含まれているかを確かめてください。

寮費が無料になる仕組みそのものについては、派遣の寮費無料のからくり~知っておくべき真実と注意点~で説明しています。

住み込みで働いて実際にいくら貯まるのかは、リゾートバイトは貯金が貯まる?実際の貯金額も公開!で数字を公開しています。

期間が決まっている

契約期間があらかじめ決まっているので、いつまで働くのかを見通しながら予定を立てられる。次の予定を考えながら働きたい人にとっては、ここが利点になる場合もあります。

収入の中身の分解については、期間工の年収が高いと言われる理由は?割増賃金のしくみと手取りまで解説で詳しく書きました。

求人票と面接で確認できること

ここまでの内容を、応募前に確かめられる項目としてまとめます。

工程で決まること

  • 扱う部品や製品の重さと、持ち上げる頻度
  • その工程が重量の制限にかかるものかどうか
  • 補助の設備があるか

3章の数字を知っていれば、「重い物を扱いますか」ではなく「何キロのものを、どのくらいの頻度で扱いますか」と聞けます。答えが具体的になる。

3つ目を入れたのは、重さだけでは決まらないからです。持ち上げる動作を機械が担っているかどうかで、同じ重量の部品でも体にかかるものが変わる。

勤務の形で決まること

  • 交替制か、日勤のみか
  • 夜勤がある場合、始業と終業の時刻
  • 連勤になりうる時期

時刻まで聞くのは、通勤の手段と結びつくからです。終業の時刻に公共交通機関が動いていなければ、送迎があるかどうかが実際の問題になります。5章で見た指針が、通勤の安全確保を挙げていたのはこの点です。

寮で決まること

  • 個室か相部屋か
  • 相部屋の場合、同室の人と勤務時間帯や寝る時間が揃うか
  • 仮眠や睡眠の場所、休養室が男女別になっているか

2つ目は、6章で見た「就眠時間の異なる二組以上」の定めにつながる項目です。相部屋かどうかだけでなく、同室の人がどの勤務に入っているかまで聞けると、判断の材料が増える。

3つ目については、5章で見たとおり条件があります。男女別が義務になるかどうかは、仮眠の場所なら夜間に睡眠を与える必要があるか、休養室なら働いている人数で決まる。そのため、あるかないかを聞くほうが早いです。

聞いておきたいこと

求人票に書かれていないことのうち、聞けば答えが返ってくる項目です。

  • 生理休暇の運用(請求の方法と、有給か無給か)
  • 夜勤がある場合の通勤の手段(送迎があるか、駐車場の照明はどうか)
  • 健康診断の時期(雇い入れるときの分は常時使用する労働者が対象。深夜業がある場合は、配置替えの際とそのあと6か月以内ごと)
  • 寮の規則の内容

最後の2つは、5章と6章で見た定めに対応しています。健康診断は雇い入れるときと、深夜業への配置替えの際、そのあと6か月以内ごと。寮の規則は、その寮が事業の附属寄宿舎にあたる場合に届出を伴うものでした。あって当然のものとして流さず、確認する価値のある項目だと考えてください。

社会保険の加入条件や手取りへの影響は、【2026年最新】リゾートバイトは社会保険に入れる?手取り・年収の壁を完全解説で整理しました。

工場の仕事が合わないと感じたら

ここまで読んで、重量物や交替制のところが引っかかった方もいると思います。工場の工程が自分に合わないという感覚は、慣れだけでは解決しない場合もあります。

住み込みという条件は変えずに、職種を変えられる

工場以外にも、寮のついた求人はある。観光地のホテルや旅館、スキー場の仕事などです。固定費を抑えながら期間を決めて働くという目的が共通するなら、比べてみる価値はあります。

比べるときの軸は、7章で挙げた3つがそのまま使えます。経験や資格を問われるか、寮費がどうなっているか、期間が決まっているか。工場かどうかではなく、この3つで並べると違いが見えやすくなる。

女性が住み込みで働くときの実際については、女性の住み込み仕事~実際の口コミから見る魅力と注意点~で扱っています。

観光地の仕事とは、負担の中身が違う

屋内の接客に移れば重量物の問題は小さくなりますが、別の負担が出てきます。立ち仕事の時間が長くなり、繁忙期の忙しさもある。どちらがきついかではなく、自分が何に耐えられるかで答えが入れ替わります。

ひとつ付け加えておくと、6章で見た寄宿舎の定めは工場に限ったものではありません。寮に住んで働く形であれば、観光地の仕事でも同じ基準が関わってきます。確認する項目は、職種が変わっても持ち越せる。

職種や地域の選び方は、リゾートバイトは女性も安心して参加できる?女性におすすめの職種や地域選びのポイントなどをご紹介!にまとめました。

住み込みという働き方そのものの負担は、住み込みの仕事はきつい?やめとけと言われる理由と後悔しないための選び方で正直に書いています。

工場での製造の求人も、観光地の求人も、その他のリゾートバイトから条件を並べて比べられます。

よくある質問

女性は本当に採用されにくいのですか

募集・採用の対象から性別によって応募者を外すことは、法律で禁止されています。男女別の採用人数を決めることも、違法事例として挙げられている。ただし、採用の判断には募集の人数やその仕事に必要な能力も関わるので、性別の話だけで結果が決まるわけではありません。個別の勤務先が実際にどう運用しているかも、外からは分かりません。言えるのは、「女性枠が少ないから仕方ない」という説明をそういうものだと受け取る必要はない、ということです。

体力に自信がなくても応募できますか

合理的な理由がないのに体力を要件とすることは、間接差別として禁止されています。そのうえで実際的な話をすると、確認すべきは自分の体力ではなく工程の中身です。扱う物が何キロで、どのくらいの頻度で持ち上げるのか。ここが分かれば、自分に合うかどうかを判断できます。

何キロまでなら扱えますか

満18歳以上の女性の場合、断続作業で30キログラム、継続作業で20キログラムが基準です。この重量以上の重量物を取り扱う業務には就かせてはならないとされています。断続と継続で数字が違うので、持ち上げ続ける作業かどうかもあわせて確認してください。なお妊娠中でない女性に適用される就業制限は重量物だけではなく、有害物を発散する場所での一定の業務も対象です。

「女性は男性の60%まで」という数字を見ましたが、これとは違うのですか

違います。60%という数字は「職場における腰痛予防対策指針」に出てくるもので、事業者が努めることとして示された目標です。一方の女性労働基準規則は、就かせてはならないという禁止の定め。同じ重さの話でも、強さが違うという点を押さえてください。

あわせて、60%が何に対する割合なのかにも注意してください。男性が取り扱うことのできる重量に対する60%位までという示し方で、自分の体重の60%という意味ではありません。

女性でも夜勤に入る可能性はありますか

あります。女性の深夜業の規制は1999年4月1日に廃止されました。「女性だから夜勤がない」という前提は、現在の制度では成り立ちません。妊産婦が請求した場合は深夜業をさせてはならないとされています。

夜勤がある職場で、確認しておくことはありますか

国の指針では、送迎バスの運行、駐車場の防犯灯の整備、防犯ベルの貸与などが挙げられています。ただしこれらは、努めることとして示されたものです。義務になるのは、労働安全衛生規則にもとづく設備の男女別と、健康診断です。仮眠や睡眠の場所は夜間に睡眠を与える必要があるときなどに、休養室は常時50人以上または常時女性30人以上を使用するときに、男女別にすることが義務になります。健康診断は深夜業を含む業務に常時従事する労働者が対象で、深夜業への配置替えの際と6か月以内ごと。女性に限った制度ではありません。雇い入れるときの健康診断は、これとは別の条文(同規則第43条)で定められています。

生理休暇は取れますか

労働基準法第68条により、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、使用者はその日に就業させてはならないとされています。ただし有給か無給かは法律が定めていないので、勤務先の規程を確認してください。

相部屋の寮しかない場合はどうなりますか

寮が「事業の附属寄宿舎」にあたる場合、就眠時間の異なる二組以上の労働者を同一寝室に寄宿させないという定めがあります。交替制勤務で勤務時間帯が違う人と同室になるかどうかは、応募前に聞いておきたい点です。個室寮を条件に探すこともできるので、求人票の寮のタイプの表記を見てください。

まとめ

期間工で女性が働くことについて、法律で決まっていることを3つ見てきました。

ひとつ目は、募集と採用で性別による線引きができないことです。男女雇用機会均等法の第5条により、対象から男女のいずれかを外すこと、条件を男女で変えること、男女別に採用人数を決めることは、いずれも原則として禁止されています。ただし、慣行や固定的な役割分担意識による格差を改善するためのポジティブ・アクションのように、条件つきの例外もありました。別の条文(法第7条)では、業務上の必要性などの合理的な理由がないのに体力を要件とすることが、間接差別として禁止されている。体力を求めること自体ではなく、理由を説明できないのに要件にすることが問題にされている点が要点でした。

ふたつ目は、重量物を扱う業務に就業制限があることです。満18歳以上の女性は、断続作業で30キログラム以上、継続作業で20キログラム以上の重量物を取り扱う業務に就けません。この制限は妊娠中でない女性にも適用されます。腰痛予防対策指針の60%という数字とは別物で、あちらは努めることとして示された目標でした。

この2つを合わせると、見えてくる構造があります。「女性だから」という説明を受け取る前に、その工程が制限にかかるのかどうかを確かめられるという形です。例外は就業制限だけではなく、採用されるかどうかも工程だけで決まるわけではありません。それでも、性別の問題として受け取ると打つ手がないところを、工程の問題として見れば見る求人を変えられます。

みっつ目は、夜勤と体調についての定めです。女性の深夜業の規制は1999年に廃止されており、交替制勤務は女性も対象になります。そのうえで、送迎や防犯灯については努めることとされ、設備の男女別と深夜業の健康診断は条件を満たせば義務になる。この強さの違いは分けて押さえておきたい部分です。生理日の休暇も、請求があれば就業させてはならないと定められています。

寮についても、その寮が事業の附属寄宿舎にあたる場合には定めがありました。私生活の自由を侵してはならないこと、寮の規則が届出を伴うこと、就眠時間の異なる二組以上を同一寝室に寄宿させないこと。寝室の居住面積や1室の人数にも基準があり、区分は労働者を寄宿させる期間で分かれます。

ここまで分かれば、求人票と面接で確かめる項目が決まります。扱う物の重さと頻度、勤務の形、寮のタイプ、生理休暇の運用、夜勤がある場合の通勤の手段。働き始めてから分かるのではなく、選ぶ段階で確かめておく。この違いが、同じ期間工の経験を分けます。

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この記事書いた人

株式会社ミナレット

大谷 ペン

リゾートバイトに関する記事をこれまで150本以上執筆し、全国各地で実際に働くスタッフへのインタビュー取材も多数実施。リアルな体験談をもとにした記事づくりを得意とし、移住関連・働き方に関するコンテンツも幅広く手がける。
執筆業の傍ら、ドラマーとして「ザ・ラヂオカセッツ」「黒猫CHELSEA」などに参加する一面も持つマルチクリエイター。

WEBマーケティング/ドラマー

参加実績
株式会社グッドマンサービス/株式会社TOASU(学研グループ)/キレートレモン Facebookページ/ぐるなび「接待の手土産」/アクサダイレクト「ペットの便利帳」/ザ・ラヂオカセッツ/黒猫CHELSEA/FAIRYBRENDA/町田直隆/THE イナズマ戦隊